長期休校期間中の英語学習法

大学生のための基本英語学習戦略

大学生のための基本的な英語学習戦略について考えてみましょう.少なくとも,英語の基礎力を確実なものにし,かつ英語の基底能力を高め,短期間で英語の実用能力に転化できる段階までは完成しておきたいところです.

自分の現在のレベルを知る

大学生といっても,英語が得意だった人と不得意だった人とでは,英語のレベルに雲泥の差があります.当然のことながら,今後の学習戦略(トレーニング戦略)は異なってきます.

大学受験で英語が得点源だった人.たぶん,英語の基礎力は強靭でしょう.受験対策として音読などを充分にやってきた人は基底能力もかなりのレベルに達しているはずです.このような人は,本サイトで紹介している多くのことはもう自明のことでしょうし,たぶん終了済.そのため,かなりの部分を簡略化もしくは省略できるでしょう.あとは,どんどん,実践の場で英語力を磨いていってください.

一方,大学受験では英語が苦手で苦手で...他の科目でなんとかカバーして合格できたという人の場合.本サイトの情報を参考に,英語の基礎の基礎から固め直す戦略を練ってください.でも,中学生や高校生と同じことをしなさいと言うつもりはありません.ちょっとした工夫で大学生だからこそできる能率的な方法もあるのです.このことは後に詳しく述べることにします.

以上の2つの例はいずれも極端な例ですが,多くの方は両者の間のどこかに位置するのではないでしょうか.そして,自分がどのあたりに位置しているのかにより,必要な戦略が異なってきます.英文法を一から学習し直したほうがよい場合もあるでしょうし,学習よりは音読などのトレーニングを重要視したほうがよい場合もあるでしょう.さらには,その程度に応じて,学習やトレーニングの軽重や配分が異なってきます.

そもそも自分のレベルがわからない,という方も多いのではないでしょうか.そこで,なんらかの形で自分のレベルを知る必要があります.

自分のレベルを知る手っ取り早い方法は,試験を受けることです.もちろん,TOEIC や TOEFL,英検などでもかまいませんが,もっと手軽にご自分のレベルを知る手段として,CASEC(キャセック) を受験してみることをおすすめします.

自宅で受験可能(所要時間は約50分)で,試験終了と同時に配布される受験結果の詳細なレポートが重宝します.自分がどのような段階にいて,今後,どのような能力を必要としているのか,今後の学習課題のヒントになる記載を参考に,どのレベルの学習をどの程度行うか,という検討が可能となります.

初回は学習戦略を練るために受験し,その後は自分の進歩の度合いを確認するために定期的に受験するとよいでしょう.

英語コミュニケーション能力判定テスト「CASEC」

メソードの重要性

自分のレベル(現在位置)を確認したら,次に必要なのは最適なメソードを知ることです.英語学習で唯一,運に左右されるのがこの有効なメソードに出会えるかどうかということです.

もちろん,多少,効率の悪いメソードでも,やらないよりはやったほうがずっとよいです.極端な話,一番確実なのは,小学英語から受験英語も含めた高校英語まで,すべて復習することです.このサイトでも小学生対象のページから高校生対象のページまで,数々の情報を提供しています.充分な時間が取れるという方はぜひ,やってみてください.いろいろな意味で勉強になります.

一方,多くの方はもっと能率的に学習とトレーニングを行いたいのではないでしょうか.実際,小学英語から復習をしてみるとすぐにわかることですが,大学生の場合は省略できることや他の方法で代用したほうがいいと感じることがたくさん出てくると思います.

メソードが必要な理由は他にもあります.人間というものは飽きやすいからです.大学受験というプレッシャーがなくなった今,大体において,3ヶ月から1年程度である程度の変化がなければ,それ以上,モチベーションを維持したまま学習やトレーニングを継続するのが難しくなってきます.だからどうしても,鈍行列車型よりは新幹線型のメソードが,少なくとも部分的には必要となってくるのです.

かといって,よく宣伝文句に現れる「あっと言う間に...」のような付け焼き刃的な学習法はおすすめしません.やはり,確実に基礎力を強靭にでき,同時に基底能力を着実に高めていく方法論に基づいた学習やトレーニングが重要です.

残念ながら私の知る限り,飽きやすい人間の特性までも考慮した上で,大学生や社会人でも継続できるバランスのよい英語学習や英語トレーニングのメソードをていねいに紹介した本は長い間,出版されませんでした.そして,2005年10月に出版された画期的な本が,

英語上達完全マップ : 初級からTOEIC900点レベルまでの効果的勉強法

です.

大学生に適した英語学習のための方法論がある

上記のメソードのお話とも重複することですが,大学生に適した英語学習のための方法論が存在します.それは,大学生が大学受験のための受験勉強を行っていた日々からまだあまり時間が経過していないことと,社会人に比較して時間的な余裕があることです.

前者に関しては,受験英語資産の活用です.これこそ,大学生の特権です.いろいろと悪玉扱いされる受験英語ですが,英語は英語.しかも,大学受験が日本人の英語力向上に大きな力を発揮していることはまぎれもない事実なのです.実際,受験英語の95%以上が役に立つと言われています.私の印象ではこれはかなり控えめな数字で,実質的には99%以上と感じています.本来は役立つ受験英語資産を最大限に活用することを考えてください.

後者に関しては,受験英語資産の活用とも関連があることなのですが,基礎からじっくりと復習する時間があるということです.この機会を絶対に逃してはいけません.しかも,小中高校生と全く同じように行う必要はないのです.もっと俯瞰的に(ふかん的に)短期間で全体を見通してしまいましょう.

戦略を練る

ここでかなり乱暴ですが,大まかな学習の流れを示しておきましょう.英語学習と英語トレーニングのスケジュールを展望するつもりで眺めてください.もちろん,すでに述べたように,人によっては大幅に短縮または省略できる部分もあります.

まずは,受験英語で得た資産を,忘れてしまわないうちに活性化しておきます.基本的には,文法と発音の基礎知識です.この2つは大学生が得意な「頭で理解する」方式で短期間に全体を見通してしまいましょう.

上記と併行して,あるいは少し遅らせて,上記の基礎知識を使えるスキルへと転化させるトレーニングを開始します.基本的には『英語上達完全マップ』に記載された「音読パッケージ」と「瞬間英作文」などです.

そして,もう一つは英語を活用する楽しみを早期に導入してみてはいかがでしょうか.そのことにより,モチベーションを維持できます.英語を活用する方法としてはいろいろとあるのですが,最も手軽で,万人におすすめできる方法は多読です.

このように,学習とトレーニングと活用という3本柱で進めていき,時々,CASEC(キャセック) などの検定試験で成果を確認するのです.

あとは実行するのみ

どんな優秀なメソードであっても実際に実行しないことにはその恩恵を被ることはできません.やるべきことがわかったら,どんどん,実行しましょう!よほど悪い方法でもない限り,やらないよりはやったほうがずっといいですヨ!!