教科書類の入手の有無で差がつく学習戦略の質
先取り学習を行うには,中学校で使う教科書類を事前に入手しておくのが望ましいです.
積極的に動くか,待っているだけか,
ここですでに大きな差がついてしまっている!
教科書配布のタイミングは学校によって異なるようです.学校によっては,学年末にすでに次の学年の教科書を配布されることもあるようです.入学手続きと同時に入学後に使う教科書が入手できる場合もあるでしょう.しかし,多くの学校では新年度が始まってからとなるのではないでしょうか.
特に問題となるのは中学校に入学後に使う英語の教科書の場合です.入学前に学習戦略を立てて先取り学習を行おうとしても,教科書がないことには,できることは限られてしまいます.ここはどうしても,入学前に教科書を入手し,その教科書準拠のワークや問題集,音声もいっしょにそろえておきたいところです.
使用する教科書は,国公立の場合は検定教科書を使うところがほとんどでしょう.私立の場合は,検定教科書を使うところもありますが,多くの学校で検定外教科書を使用します.
中高一貫校などで使用される検定外教科書の場合は少し複雑です.主な検定外教科書は,プログレス21(エデック),ニュートレジャー(Z会),バードランド(文英堂)です.入学する学校のホームページなどで確認しましょう.
検定教科書と教科書ガイドの入手方法
中学英語の検定教科書は6つの出版社のうちのいずれかが使用されます.毎年,新年度が始まる半年ほど前に各市町村のホームページなどで,出版社名と教科書名が公表されますから,確認しておきましょう.確認したら,最寄りの教科書取次店で注文します.ただ,新年度が始まる前後1ヶ月は学校への配布が優先されるため,入手できないことがあります.
教科書が入手できたら,その教科書準拠の教科書ガイドと音声CDを購入します.その時,間違ったものを購入しないように教科書番号なども確認することが重要です.
プログレス(検定外教科書)と準拠教材の入手について
プログレスは,エデック社 に直接,電話して問い合わせます.購入するものと冊数を告げれば,価格と送料,振込用紙の書き方を教えてくれます.プログレス21を使う場合,購入が必要なものは,
・ 教科書本体(『PROGRESS IN ENGLISH 21 REVISED BOOK1』)
・ 音声アプリ
です.チャートブックも買ってもよいですが,教科書本体の巻末に同じものがありますので,学校が始まるまで,それで代用することができます.もしすでにある程度の先取り学習が進んでいて,問題演習も行う余裕があれば,
・ SELF-STUDY
・ WORKBOOK
も購入すればよいでしょう.私が追加でおすすめするのは,
・ 『脳の仕組みからみた英語教育』
もいっしょに購入されることをおすすめします.後で役立つことが多いです.
プログレスの場合に注意すべきことは,学校によってはプログレス21ではなく,旧版のプログレスを使っているところもあることです.旧版プログレスを使う場合は問い合わせる際に,その旨を申し出てください.
なお,プログレス21の場合は,進研ゼミで,プログレス21対応の詳細解説・問題集,定期テスト予想問題集が入手できる通信講座が開講されています.
その他の検定外教科書の場合
ニュートレジャーまたはバードランドは,2020年4月現在,一般発売は行われていないようです.どちらもプログレスと同様,とても優秀な教材なのに本当に困ったことです.やはり,教科書類は一般人でも入手可能であって欲しいです.各出版社の企業戦略上の都合もあるのでしょうが,社会的役割をもっと認識して欲しいものです.ニュートレジャーまたはバードランドの場合は,中古市場 で入手するか,先輩に借りるなどの工夫が必要です.
ニュートレジャーやバードランドの場合でも,各教科書に準拠するワークブック,問題集,音声CDを用意するのを忘れないようにしましょう.
ニュートレジャーを出版しているZ会でも,中高一貫校や公立中学校の生徒を支援する通信講座が充実しています.
教科書類入手でわかる重要な学習戦略
使用する教科書と付属教材が入手できたら,パラパラとページをめくりながら,中学校ではどんなことを勉強するのか,概観してください.数分もあれば,かなりのことがわかります.このように,実物を手に取ることによって初めて入手できる情報があるのです.これはきわめて重要です.
たった数分で入手できる情報で重要なものの一つが,学習戦略に関する情報です.教科書と付属教材をパラパラとめくってみるとわかりますが,前半は小学校時代の英語と重複している部分も多いでしょうが,後半は未知の内容になっていて,急に難しくなるように感じるはずです.実は,ここが多くの生徒が脱落していく箇所なのですが,どのあたりから急に難しくなるのか,あらかじめ,ある程度の予測がつくはずです.急に難しくなる前までが基礎の基礎に相当する部分といえそうです.
もう少し,基礎の基礎に相当する部分を詳しく見てみましょう.今度は30分ほどかかるかもしれません.前半部分は小学校でやった内容を少し,視点を変えて整理し直していることがわかるはずです.難しそうな言葉(文法用語)も出てきます.そして,後半の急に難しくなる箇所以降は,前半で勉強した文法用語を使いながら進むものと考えられます.
以上で学習戦略上,重要なポイントが浮かび上がってきますね.前半では小学校で習ったことを見直しながら,別の角度から理解を深め,小学校でやり残した基礎の基礎の習得がしっかりとできるようにするのです.さらに,さまざまな練習を通じて基礎の基礎の習熟度を上げることによって初めて,急に難しくなる後半の内容が理解,習得できるようになるということがわかります.
前半で小学校で習ったことを繰り返しているのは,それだけ重要度が高いからというのも理解できるでしょう.ですから,この部分は簡単だからといって油断してはいけないのです.むしろ,本腰を入れて取り組まなければならない.しかも,その部分に半年もかけるということは基礎の基礎の習得,習熟には時間がかかるということです.ということは,中学校の英語の方法論で早めに学習を始めたほうがいいということもわかりますね.
以上のことを最初に知っているか知らないかで後々,大きな差が生じることがわかるでしょうか.わかったら,さっそく始めましょう,中学校の英語学習を!
教科書類が入手できない場合の次善の策
問題はどうしても教科書の入手ができない場合です.教科書の入手ができなかった場合は,次善の策として,代替する方法を考えましょう.
教科書の代わりに,中学校の英語の授業内容を概観した図書はないものでしょうか.実はあるのです.
『Z会グレードアップ問題集 小学6年 中学英語さきどり』
です.
教科書類の代わりにこの問題集を学習戦略立案に役立ててください.
ちなみに,
『Z会グレードアップ問題集 小学6年 中学英語さきどり』
は,「中学英語さきどりワークシリーズ」の最高峰である 『中学英語先取りワーク ハイレベル』 の改訂版です.「中学英語さきどりワークシリーズ」は,2011年度からの小学校への英語教育の導入時に,中学入学直前の春休みの学習用として,ベーシック,スタンダード,ハイレベルの3種類が発売されました.
このうち,スタンダードの 『中学英語さきどりワーク スタンダード』 は,2020年4月末現在も発売中です.グレードアップ問題集が難しく感じる場合は,グレードアップ問題集は学習戦略立案のみに使用し,先取り学習は 『中学英語さきどりワーク スタンダード
』 を使用してもよいでしょう.
ひと足先に,英語学習のスタートダッシュ!
教科書類(もしくは代替教材)の入手ができ,おおまかな学習戦略ができたのなら,あとはやることはただ一つ.無理のいかない範囲で英語学習の新しいスタートをしてください.あとから振り返ると,その瞬間こそが,あなたの人生の新しい歩みを切り開く瞬間になっていたはずです!