自習できる英語学習と自習できない英語学習
英語学習には自習できる部分とできない部分があります.いいかえれば,英語の授業でないとできない部分と,自分でもできる部分があるのです.能率的な英語学習スタイルを確立するために,この問題を考えてみましょう.
中学校の英語学習
まず,英語学習はどのように進んでいくのでしょうか.小学校ではいろいろな場面で有用な表現に触れ,その表現を使うことで,役に立つ表現を習得,習熟してきました.体験学習です.でも,薄々,気がついているかもしれませんが,この方式のみではすぐに限界がきます.すべてのことを体験できるわけがないですからね.
中学校の英語学習では,国語や算数・数学,その他の教科できたえてきたさまざまな頭の働きを使いながら,効率的に英語を理解し,習得し,習熟していきます.その中で自習できる部分とできない部分があることに着目しましょう.
話す練習は相手が必要
たとえば,英語でやり取りすること.一人ではちょっとできないですよね.英語で何か発表するというのはどうでしょうか.聴いてくれる人がいないと寂しいですよね.でも,発表する内容を考えることは自分である程度はできます.このように英語を話すことは相手が必要な場合と,相手がいたほうがいい場合があるのです.これらの部分の多くは英語の授業の中で練習したいですね.
文法の学習は自習できる
中学校の英語では文法の勉強もします.教科書やガイド類には,文法の説明も少しあります.この少しの説明が英文の理解にとても役立つのです.試しに,Unit 1(Lesson 1)を自分なりに理解しようとチャレンジしてみてください.まだ習ってもいないところだから全部理解するのはもちろん無理ですが,ちょっと説明を読むだけでも理解が劇的に進むはずです.
もちろん,授業で説明してもらったりすると,もっと効率よく理解できることはあるでしょう.でも,授業中にマスターしなくてはならないことは他にもたくさんあります.できれば,授業の説明は復習として活用し,どうしても自習では無理だった箇所の補充や,英語の授業中以外ではできないことに集中したいものです.人間,一から十のすべてが一度で理解,習得できるわけがないですから.ということで,自分でできる部分はどんどん,自習してしまいましょう.
聴いたり読んだりすることも自習が可能
今度は英語を聴いたり読んだりする場合はどうでしょうか.すでにある程度,聴いたり読んだりできるレベルの英語なら,自分でもできそうです.小学校の時に英語の読書をやっていた人も多いことでしょう.ただ,難しいことになると自分ですべて行うのは難しくなります.それでも,英文の内容を日本語で解説してあるガイドや,英語の音声を書き下ろした英文とその説明があると,自習でもかなりのところまでできそうです.
ちょっと話が脱線しますが,みなさんの親世代で英語が話せる人が身近にどれだけいますか?おそらく,特別に英語を使って仕事をしている人をのぞいて,ほぼ皆無でしょう.でも,その中には英語は話せないけれど,かなり難しい英文でも自在に読める人は多いのです.これは,昔の英語の授業で(そして受験でも)読むことしか重要視されなかったからということも大きいのですが,読むことは自習できるという点も見逃せません.読むことはすなわち,視覚で理解できるようになること.視覚はわかりやすく明確なので,実験,検証も行いやすく,さまざまな方法論が開発され,応用されてきました.そのため,かなりの部分が自習できるのです.
聴いたり読んだりすることから話すことへ
一方,英語が話せるようになるには,視覚で理解できるだけでは足りません.音声(聴覚)の理解はもちろん,瞬間的に処理して反応することも必要となります.そのためには練習が必要です.
練習といっても,反射的に反応できるようになるまでは,繰り返し,繰り返し練習することが必要となります.残念ながら,限られた授業時間中にその練習をすべてやるわけにはいきません.スポーツだってそうですよね.体育の授業ですべて練習できるわけではなく,うまい人はスポーツクラブに入って練習したり,自分でトレーニングをしたりしています.つまり,英語でも練習は自分でやる必要があるのです.
充分に練習を積んで,英語が使えるようになったとしましょう.その英語を使ってやりとりを行うには相手が必要です.そのような場を提供してもらうことも必要です.ここに,英語の授業が役立つのです.
まとめ:自習できる部分は自習が不可欠
以上をまとめると,英語学習には自習できる部分とできない部分があることがわかります.そして,自習できる部分は自習し,自習できない部分で英語の授業を活用するのがよいことがわかります.自習できる部分はどんどん,自習してしまいましょう.