長期休校期間中の英語学習法

大学受験英語対策として受験勉強を始める高校生へ☆高校入試のときに英語が得点源か苦戦かによらず必要なこと

大学受験のための英語を勉強しよう!
そう思ったときが受験勉強スタートです.
で,一番最初に何をやる?
受験英語ならではの必須の対策って何?
実は,意外なカラクリがあるのです!!

大学受験英語の今昔

グローバルスタンダードなどと言われるようになって久しいですが,21世紀の日本では,今後,ますます英語を学習する必要性に迫られています.そのせいか,大学受験対策の塾,予備校,中高一貫校はみな,充実した英語教育をアピールします.書店に行くと,受験参考書のコーナーで一番大きなスペースを確保しているのは英語です.それだけ,英語の重要性は誰もが認めるところです.

一方で,大学受験英語も変化を続けています.
昔の大学受験の英語と言えば,
「次の英文を和訳せよ.」
というのが代表的でした.特に,私立大学や国公立の二次試験でこの傾向が強かったように思います.

一次試験(共通一次,センター試験などと言っていた.大学入試共通テストの前身.)では,英文と設問があり,正解を選択肢から選ぶ問題.昔はすべてリーディングのみでした.

そして近年,大学入試が徐々にですが変化しています.すでにセンター試験時代の2006年度からリスニングが導入されましたし,2021年度から,リスニングの配点が高くなるという情報もあります.

問題の質自体も変化しています.かつてのように暗号解読のみで解ける問題よりも,必要な情報を素早く読み取ったり,聴き取ったり,あるいは与えられた情報をもとに自ら思考した結果,最適解を導き出す問題へと変化を続けています.このように変化してきたのは時代の要請なのでしょう.

これから必要になる英語の能力

前世紀の日本では,英語を使うと言っても,英語を読み解ければよかったのですが,21世紀ではそうはいきません.膨大な情報の中から必要な情報をすばやく読み取ったり,聴き取ることはもちろん,その情報を編集・思考し,他者と共有できる形で発信する必要も迫られていくことでしょう.その能力を大学受験でも判定しようとしたのが,四技能評価でした.

四技能評価は結局,さまざまな問題があって頓挫しましたが,今後も同等の能力を評価しようと,模索は続いていくでしょう.ますます英語の総合力が問われるわけです.英語を使ってさまざまなことを可能にする能力も試されるでしょう.

そのためには,確固たる基礎英語力の土台が必要であることはいうまでもありません.そして,その上にしっかりとした英語を活用する力を築いておかなくてはなりません.決して,受験テクニックでどうにかなる問題ではないのです.

ところで,中学英語は本当に大丈夫?

さて,そろそろ本題に入りましょう.英語の基礎である中学英語は大丈夫ですか?本当に大丈夫ですか?
もし,基礎が少しでも怪しいのなら,長期休業期間中になんとしてでも補強しておかなければなりません.そこで,中学英語を徹底的に復習することをおすすめします.「急がば回れ」です.そして,どうせやるのなら,受験対策も兼ねる方法でできれば,と考えます.

私の場合☆英語の基礎の欠如で一次試験で失点

私は2浪しています.現役,1浪目と,英語が足を引っ張っていました.特に一次の英語.当時は「共通一次」と言われていました(年がばれたかな?).模擬試験では7~8割取れるのに,本番では半分と少ししか取れなかったのです.かなり低いですね.特に,基本問題をたくさん落とし,長文では2つまでは絞れるのですが,必ずと言っていいほど,間違いのほうの選択肢を選んでしまうありさまでした.

「本番のケアレスミスは,本番だから緊張してケアレスミスをするからではなく,英語の基礎のどこかに穴があるからだ.タチが悪いのは,その穴がどこにあるのかがわからないときだ.」
それとなく,頭の片隅に残っていたずっと昔のアドバイスの言葉でしたが,2浪目が決まった瞬間はさすがに,心に突き刺さりました.
「基礎固めは中途半端ではいけない.そうだ,中学英語から復習しよう!」

まさかのまさか☆中学英語の前半に大穴アリ

駿台予備学校へ通えることになったので,駿台の授業が始まるまでの間に,中学英語の復習と高校基礎英文法を完璧にしようと考えました.そこで,『高校入試全力集中 英語』(駸々堂出版)という問題集を買ってきて,その日から解き始めたのでした.

高校入試用の問題集ですから,ほぼ,どの問題も正解できます.ところが,その正解を出す過程で大きな問題があることに気づきました.問題を解くときのスピードに大きなばらつきがあったのです.解くというより,反応するだけで瞬時に正解が向こうからやってくるところ.問題を考えて解いて正解するようなところ.何が正解か迷ってなんとなくで答えを書いたらたまたま正解だったというところ.これでは,同じ正解でも習熟度に大きな開きがあることは明らかです.そんなことを感じながら解き進めているうちに,とうとう,間違えるところが出てきてしまいました.これはショックです.中学英語のどこかに穴があるという事実を突きつけられたから.

間違えた箇所やまぐれ当たりの箇所を中学校の教科書も使って復習することにしました.大体,中2の後半から穴があるようでした.中学の時はずっと得意科目だった英語ですし,高校入試でも英語は最大の得点源でした.大学入試の英語があまりよくなかったのは,高校時代にサボったことだけが原因と思っていました.でも,実際はそうでもないようなのです.

さらにショックだったのは,中2の教科書を読んでいても,その理解度はさまざま.あるところは,英語を読んでいるという感覚がなくて日本語を読むときのように情景などが浮かんでくる.別のところは,一生懸命に文法の規則を適用してやっと意味がわかる,といった具合です.両者で習熟度に雲泥の差があることは明らか.そして,その原因は中2の前半以前にあるということになります.これがまたショック!本当にショックでした!!

なぜかというと,私は中2の秋に英語を中1の教科書の1ページ目からやり直したことがあります.
(そのときの経緯は,

英語が得意になる方法☆英語の基礎の習得を確実にせよ!

プログレス21の主導権を基礎からの総復習で奪還せよ!

に書きましたので,よろしければ読んでやってください.)
だから,さすがに中2の前半までは完璧だろうと思っていたのです.中2の中程までは,中1の教科書の1ページ目からの総復習を2回も行っていたから.2回の総復習だけでは足りないのかもしれない.

ということで,3回目となる,私の中1からの総復習プロジェクトが始まったのでした.

中1の教科書の音読から

その日から,中1の教科書の Lesson 1 からの総復習を始めたのです.テープ(このころはまだCDなどもなく,カセットテープを専用の機器に入れて音声を再生していた)を用いて音声も聴きながら音読を繰り返しました.音読したあとは黙読で習熟度のチェックを行い,サーと速い速度で読めるようになるまで音読を繰り返すことにしたのです.このようにして,Lesson 1 が終わったら Lesson 2,Lesson 2 が終わったら Lesson 3,...と進めていきました.

Lesson 1 のあたりはまだしも,Lesson 5 あたりになると,習熟度にかなりのばらつきがあることがわかりました.習熟度が低い箇所は音読の回数を増やすなどして,できるだけ,全体がスラスラと読めるようになるまで繰り返しながら進めました.

ほどなく,中学校の教科書のリスニング&音読が終わりましたので,高校の教科書も同じようにしてリスニング&音読を続けました.高校の教科書は予想以上に時間がかかり,高2の教科書の途中で駿台の授業が始まりましたので,そこで総復習は一旦,打ち切りました.

その後は基本的には駿台の予習,復習に専念したのですが,時間があるときにやり残した教科書のリスニング&音読も行い,一応,高2の教科書は最後までやりました.そして,駿台のテキストのうち,『英語構文演習B』だけは通常の復習が終わっても音読教材として,音読を続けることにしました.

中1からの復習が私を救った!

そして迎えた共通一次本番.当時の共通一次の英語は,最初は配点が1点から3点程度の発音問題や文法問題が多く,中程からだんだんと英文が長くなり,後半は配点が高い長文問題となります.いつも大きく失点していた英語は,この年はなんとなくスムーズにできたような気がしました.

2日間の試験が終わったら自己採点をするのですが,最後に自己採点をしたのが英語です.自己採点は前から順番に行っていきます.自己採点を始めてすぐに,文法問題のところで3問失点.去年までのトラウマもあって,いつまた失点する箇所が出てくるか,ビクビクしながら自己採点を続けます.ところが,その後はいっこうに失点する箇所が出てきません.ふと気が付けば,最後まで自己採点が終わっていました.結局,失点したのは最初のほうの文法問題の3箇所だけ.

念のため,もう一度,自己採点をやり直しましたが同じでした.中1の教科書からリスニング&音読をやり直したことが結果に大きく影響したことに疑う余地はありませんでした.英語に関しては,自分の学習方法が正しかったことを改めて知りました.中1の教科書からのリスニング&音読をすることがこんな奇跡を生むなんて!

結局,この年の共通一次は理系の科目で大失敗.第2志望だった広島大学を受験することになります.せっかく時間とエネルギーを投入して準備してきた英語は二次試験では課せられないことになったのですが,一次試験の英語が傾斜配点で合否判定には有利に働くことになりました.結果は合格.やっと長かった受験勉強が終わりました.

大学入学後は翻訳の勉強をし,大学院では留学生とも共同研究や公私ともにコミュニケーションができ,楽しい研究生活を送ることができました.もし,あの時,中1からの復習を決意していなかったら,そのような日々は訪れなかったでしょう.

英語の基礎の基礎が合否を決める

ひょっとして,ほとんどの大学受験生は案外,中学英語がボロボロなのかもしれません.某英語塾の先生はその著作の中で,「約半数の受験生は中1の英語がボロボロだ」と書いていらっしゃいます.おろらく,その通りなのでしょう.

とすると,大学受験の合否の決めてとなるのは,中1英語の基礎から英語の基礎を固めることと,その基礎を基盤として大学受験レベルまでの英語が体得できていて,なおかつ試験本番での実戦に通用するスキルを身につけることの3点を満たすかどうかなのかもしれません.後の2つの対策をしない人はいないでしょうが,意外な盲点となるのが最初の中1英語からの英語の基礎を固めてあるかどうかという点.しかも,それを早い段階で完了しているかどうかが重要となります.

英語の勉強で,中1からの再復習をまだやっていない方は,時間を見つけてぜひ,やってみてください.早ければ早いほどよいでしょう.理想的には高校入試直後に一度,中1からの総復習を行っておくべきでしょう.

それと,大学受験終了後も,ぜひ,英語は続けてください.きっと,いいことがいっぱいあります.それは些細なことかもしれませんし,あなたの人生を変えるほどの大きな転機になるかもしれません.

そのための第一歩を今,踏み出して見ませんか!